Global Type Relay: Paul McNeil (London LHR)

typographics t誌内では、連載として国際的タポグラフィデザイナーを英語で紹介し、同時にオンライン上で日本語で掲載します。特集されるデザイナーにはバトンリレー形式で次の方を紹介してもらいますが、1つだけ条件があります。「別の国の人を紹介する。」最終的にどこまで行き着くことでしょう。第4回はロンドン在住タイポグラフィックデザイナー、作家、教育者である、ポール・マクニール氏。
[取材:ブラザトン・ダンカン、翻訳:内之倉彰]

Paul McNeil (ポール・マクニール)
MuirMcNeil (https://muirmcneil.com/)

ポール・マクニール氏はタイポグラフィックデザイナー・作家・教育者であり、以前はロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションの現代タイポグラフィック・メディアの修士課程・コースディレクターを務めていました。2009年にハミッシュ・ミュアーと共同でMuirMcNeilを設立。グラフィックデザイン、タイプデザイン、ムービングイメージにおいてシステム的かつアルゴリズムな手法の探求に重点を置いたデザイン活動を行っている。7年の歳月をかけ、1450年から2015年までのタイプデザインを網羅した『The Visual History of Type』を制作。2017年に出版された。

MuirMcNeil TwoPoint Type System Poster for Eye Magazine

Q: まず初めに、前号のマーク・ゴーウィング氏とはどうやって知り合いましたか?

数年前にマーク氏がニュージーランドのタイプデザインの魔術師クリス・サワーズビー氏の書体についての本の序文として、短いエッセイを書くよう依頼してくれました。以前からマーク氏の仕事が好きで、特に彼が意欲的な自主制作プロジェクトと商業活動を両立させていることに驚きました。タイポグラフィに魅了された者として、マーク氏が行うデザイン書籍の慎重な書体の選択、およびプロジェクトのための革新的なカスタムフォント作成を拝見でき、光栄に思っています。

MuirMcNeil TenPoint Type System Posters

Q:MuirMcNeilでのハミッシュ・ミュアー氏との仕事やコラボレーションはどのように行なっていますか?

我々2人は長年にわたって独立したデザイナーとして活動しており、スキルはお互いに補い合っています。しかし私たちのポリシーとして、個々の成果を決して評価しあわないことにしています。我々が行うことはコラボレーションの産物であり、お互いのインプットなしにはどのような作品も作れなかったと思います。我々はデザインのプロセスを問い直し反映させることに関心を寄せています。現代ではアイデアが過大評価され、クリエイティブの本質は作るという行為・その動機となる決断・それがもたらす機会の中にあると考えています。我々の判断・行動・影響を意識することが、仕事を前進させ、同じことを繰り返さないための原動力となるのです。

MuirMcNeil TwoPoint Type System Poster for Eye Magazine

Q:「タイプデザインにおけるシステム的かつアルゴリズムな手法」のどこに一番興味を持たれたのでしょうか?

これは2つのパートに分けてお答えします。

まずこれまで述べてきたように、デザインの機能・プロセス、結果について真摯に考えることは、自然と分析的かつシステム的な制作アプローチへと発展していき、ミクロ的・マクロ的な視点の両方を踏まえるようになります。制作に対してシステム的に考えることは非常にパワフルで、デザイン上の問題を根本から掘り下げることができ、その結果、驚くほど多種多様かつ予測不可能な結果を導き出すことができます。同時に、自分の意図や「表現したい」という欲求に縛られることなく、無限に新しいものを発見することができます。

次に、文字やタイポグラフィにはこの種のアプローチにとって非常に有効です。書き言葉を機械化する技術として、自然にシステム論やモジュール性を備えています。私がタイポグラフィで最も好きなのは、システムの力をもってして人間のマークメイキングの流れと美しさの間にある緊張感を維持する方法、つまり機械化の「機械」への必要なロジックです。

MuirMcNeil Interlock Type System Poster

Q:出版された『The Visual History of Type(文字の視覚史)』についてお聞きしたいのですが。教えてください。

私は単にデザイナーの道具としてではなく、人間のコミュニケーションの根幹である文字とタイポグラフィに常に魅了され、キャリアを通じて研究してきました。数年前、私はタイプデザインの明確な歴史が存在しないと思い、そして日々学生たちと接しているうちに、彼らがこの分野について無知であることも次第に認識するようになりました。

The Visual History of Type

『The Visual History of Type(文字の視覚史)』は、デザイナーが活字の仕組みや機能を理解するのに役立つだけではなく、異なる時代の美に対する考えや技術の背景、社会や思想の進化が歴史的つながりとして非常に豊かであることから、そのギャップを埋めようと考えたものです。文字は文化の小宇宙を表現しています。

本書は15世紀半ばに可動式活字による印刷が始まって以来、今日までに作られた主要な書体の歴史的まとめです。年代順に並べられた320以上の書体が、オリジナルの活字標本や最古の印刷物の形で忠実に再現されています。

Q:36書体にわたる546フォントとはすごいポートフォリオですね。最も気に入っているフォントを教えてください。

我々の文字に対するアプローチは、伝統的なタイプファンダリーとは異なります。文字をコミュニケーションにおける基本的な構成要素、つまり視覚的な情報構造において最も小さなひとつとして、多くの点で建築物のレンガや音楽の音符と同じだと考えているのです。書体を作る際、私たちは通常、その文字を使って構築できる建築物を予想しています。その最も顕著な例がTwo Systemです。これまで多数のプロジェクトで、(図のような)さまざまな方法でTwo Systemを使ってきました。私たちは誇りに思っているわけではありませんが、これを使っての仕事を楽しんでいます。

MuirMcNeil Panopticon Type System Poster

Q:あなたの教育経験から学生にとって最も重要なタイポグラフィの観点とは何ですか?

  1. 言葉
  2. 読者
Typecon 2016: Resound Poster

次回 LHR→RMI: Leonardo Sonnoli (Italy)

次回はイタリア・リミニのレオナルド・ソンノーリ氏にバトンを渡します。
「20年前、タイポグラフィーの修士課程で学んでいたとき、講師のイアン・ノーブル氏がレオナルド・ソンノーリ氏の作品を紹介してくれたんです。私の修士課程プロジェクトはローマ文字を分解し再構築するという無謀で行き当たりばったりな試みで、すべてのナットとボルトを変形して作り直すというものでした。しかし、彼の作品で行われていた方法は私が望む以上に大胆かつ革新的で、エレガントなものでした。それ以来、私は彼の仕事に尊敬の念を持って見ています。」

記事作成者
edit-user
 
制作者
BrothertonDuncan
BrothertonDuncanの顔写真
オーストラリア出身で、2001年より日本に在住し、GRAPHIC DESIGNER+THINKER+WRITERとして活動しています。デザイン以外にも英訳の仕事を受ける。大阪医科薬科大学と京都芸術大学でデザイン専門英語、奈良芸術短期大学で編集デザインを担当。2011年に入会、現在は西部研究会委員会の担当理事。クラフトビール好き。最近新しいチェーンソー購入。普段、母国語より関西弁しゃべっている。