モリサワ タイプデザインコンペティション 2024

モリサワの「タイプデザインコンペティション 2024」は現在エントリー受付中です。
世界中のタイプデザイナーが、プロの舞台で活躍できる絶好のチャンスです。
そこで、typographics t誌の編集部が、モリサワさんへいくつかの質問を投げかけました。
応募者のみなさんの参考になると思いますので、是非ご覧ください。
取材:ブラザトン・ダンカン(typographics t誌 編集長)
回答:モリサワ タイプデザインコンペティションの担当者

「タイプデザインコンペティション 2024」のオフィシャルサイト:
https://competition.morisawa.co.jp


About the competition

Q: タイプデザインコンペティションを立ち上げたMORISAWAの皆様の目標は?


A: 大きな目的の一つは、書体デザイナーの発掘とデザインを発信する機会の創造です。デザインに関わる人々にとって、書体デザインに触れ、関心を持っていただく機会となること、また文字文化の発展に繋がることを願い開催しています。
現在では日々書体に関する多くの情報が配信され、書体開発に関わるツールも身近になってきています。このコンペティションを機に改めて書体の大切さを認識してもらい、書体のファンが増えてくれたら非常に嬉しく思います。

Q: 今年のエントリー数はどれぐらい期待しますか?また、どのような国からが多いでしょうか?

A: 前回のコンペティション(2019年)では、世界53の国や地域から応募総数813点(和文部門258点、欧文部門555点)の作品が寄せられました。
今年は新たに簡体字・繁体字・ハングル部門が加わりました。これらの言語に馴染みのある地域の皆さんから多くの応募が寄せられることを期待しています。

Q: 参加者が応募する理由については、どのように聞いていますか?

A: 応募の理由はそれぞれだと思いますが、審査員による評価を期待されているのではないでしょうか。作品の発表だけならいつでもできる世の中ですが、書体デザインのプロの目線で評価してもらうことができるのは、非常に貴重な機会となります。
なお、タイプデザインコンペティションの公式サイトでは過去の入賞作品の講評を公開していますのでぜひご覧ください。


https://competition.morisawa.co.jp/archives/


また、このコンペティションを制作の一つのきっかけとしていただけると幸いです。


About the judges

Q: 今年から新しい審査員が加わり、アジアのタイプセットに特に焦点が当てられているのはなぜですか?


A: モリサワ タイプデザインコンペティションは長年様々な国や地域から作品が寄せられてきました。日本とその周辺の地域は、お互いに文化を共有し、また切磋琢磨してきた歴史があります。
さらに幅広い書体デザイナーとデザインの発掘·創造、また中国や韓国など東アジア圏の⽂字⽂化の創造と発展を目指し、今回から簡体字・繁体字・ハングル部門を設け、新しい審査員の方にご参加いただいています。

Q: 今年の審査員はどのように選ばれましたか?


A: モリサワ タイプデザインコンペティションでは、書体に特化した国際コンペティションとして、高い専門性を有した審査員による公平な審査を目指しています。
書体を「作る」立場のタイプデザイナーだけでなく、「使う」立場のグラフィックデザイナーも審査員に迎えるなど、多角的な視点で応募作品の審査を行えるよう、審査員を選出しています。


About entering work

タイプデザインコンペティション 2024の5部門

Q: 誰が応募できますか?

A: 個人またはグループの方にご応募いただけます。国籍その他、特別な制限はありません。
過去のコンペティションでは学生の方や若い方からも多くご応募いただき、学生の方の受賞歴もあります。書道やレタリングの分野で活動されている方や、趣味でデザインをされている方のご応募もあります。またデジタル環境での制作が難しい方は、手描きでのご応募でも問題ございません。
ぜひ様々な方にご応募いただければと思います。

Q: 応募作品のレベルはどの程度のものがよろしいでしょうか? (完成された書体もしくはコンセプトでもいいですか?など)


A: どのような作品も歓迎しております。ぜひ新しい発想の作品をお寄せください。ただ、応募にあたっては指定の課題のご提出が必要です。書式規定に沿って作成をお願いしています。
書体制作が初めてという方からベテランの方まで、多くの方からのご応募をお待ちしております。

Q: 作品を応募する際に注意することありますか?


A: 未公表(※)のオリジナル作品に限り応募を受け付けます。
※下記の場合は公表にはあたりません。
 

• 大学や教育機関のサイト上でのデザインを発表したもの
 
• 個人的なブログ、SNSでデザインを発表したもの
 
• 第三者の取材によりデザインに言及のあったもの


その他の制限・禁止事項と条件について、詳しくは公式サイトをご確認ください。


https://competition.morisawa.co.jp/guidelines/


About the awards

Q: 賞の発表はいつですか?

A: 2025年2月頃を予定しています。

Q: ファン投票について教えてください。いつ・なぜ設置されたのですか?

A: 「ファン投票」は、応募者以外の方にも書体デザインに興味・関心を持っていただく機会となること、また一般ユーザーの目線で魅力的なフォントを発掘することを願い、2012年度のコンペティションから始まりました。
モリサワ タイプデザインコンペティションは、1984~2002年の間、3年ごとに実施していた「モリサワ賞 国際タイプフェイスコンテスト」が前身となります。「ファン投票」は、上記コンテストが10年の時を経て2012年から「モリサワ タイプデザインコンペティション」として新たな出発を迎えた際に、新しく設けたアワードとなります。

Q: 受賞者にとってプラスになる例があれば教えていただきたいです。


A: 受賞作品の中には、その後モリサワから製品化されたものが多くあります。


【例】

・2019年度 モリサワ賞欧文部門 金賞「Areon」
 https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/7703
・2016年度 モリサワ賞和文部門 金賞「しまなみ」 
 https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/4013


これらのフォントは多くのデザイナーにより、様々なところで実際に使われています。入賞作品が全て製品化されるわけではありませんが、当社としてそのお手伝いができることを大変嬉しく思っています。

記事作成者
BrothertonDuncan
BrothertonDuncanの顔写真
オーストラリア出身で、2001年より日本に在住し、GRAPHIC DESIGNER+THINKER+WRITERとして活動しています。デザイン以外にも英訳の仕事を受ける。大阪医科薬科大学と京都芸術大学でデザイン専門英語、奈良芸術短期大学で編集デザインを担当。2011年に入会、現在は西部研究会委員会の担当理事。クラフトビール好き。最近新しいチェーンソー購入。普段、母国語より関西弁しゃべっている。