TYPE WEST #04: 旅 2022

日本タイポグラフィ協会(JTA)の西部研究会は関西、西日本地区においてタイポグラフィ全般の研究や情報交換・交流を行っています。「TYPE WEST」は、タイポグラフィの「TYPE」と西部の活動としての「WEST」を合わせて命名した、JTA内の勉強会です。

第4回となる今回のテーマは、最近は機会が少なくなってしまった「旅」を取り上げます。過去の話・現在の希望旅先・最期に訪ねたい場所など、「旅に出る」気持ちをもって現代のタイポグラファーはどのように表現するのでしょうか。そして今回もPaper Voiceギャラリー(大阪平和紙業株式会社)にて「 TYPE WEST #04: 旅 2022」展と題して展示会も開催しました。研究としての「問」を視覚だけでなくタイポグラフィを支えている分野である、紙とインクで試行します。

会期:2022年3月7日(月)~17日(木)9:00-17:00(土・日・祝閉館)
会場:大阪平和紙業Paper Voiceギャラリー主催:西部研究会委員会
(企画進行:ブラザトン ダンカン、オガワヨウヘイ、王怡琴、白田啓秀、石原利貴)
協賛:平和紙業株式会社



日本タイポグラフィ協会は様々な委員会で構成されています。その1つである西部研究会委員会は、関西を中心に、名古屋から福岡まで幅広い地区の会員で構成されています。研究という名の通り、タイポグラフィをもっと勉強したい、より深く理解したいというデザイナーが精力的に活動しています。

TYPE WESTとは:

  1. 企画チームが今年のテーマを決める。
  2. 参加者である日本タイポグラフィ協会のデザイナーが、テーマに沿ってポスターのデザインを制作。
  3. 紙のプロである平和紙業さんに、参加デザイナーの作品を見て、紙を選定、提案してもらう。
  4. ギャラリーに並んでいるのはその結果です。

TYPE WESTはデザイナーのためのポスター展ではありません。「IDEAS」展です。「研究」展です。会員を始めとし、ご覧になる方も一緒に研究し勉強していただきたいです。表現されている線のカーブ、細さなど文字の形から、伝わる印象とポスターの裏メッセージまで、1枚づつ丁寧に見ることもできるし、全て比べることも勉強です。今年の流行りは見えるのでしょうか。一匹おおかみ誰でしょう。などなど。

普段、デザイナーが紙を選ぶと自分の知っている範囲でしか選ばないでしょう。TYPE WESTでは、「研究」を重視するために、紙の選定はプロである平和紙業さんにお任せ。とても丁寧に参加者のデザインに合わせて紙を選んでくださいました(だいぶ緊張したと噂を聞きました)。お好みであるかどうかは飲みながらの話で結構です。並んでいるポスターの結果は、タイポグラフィやグラフィックデザインの研究だけではなく、それを支えている分野である「紙」の研究でもあります。非常に大事です。平和紙業さんのおかげで新しい紙・知識に出会うことができました。感謝しております。

褒め言葉からは誰も賢くなりません。会員からももちろん期待するけど、皆からの批判を歓迎いたします。

それでは、ごゆっくり「研究」してください。

日本タイポグラフィ協会
西部研究会委員会 担当理事 
ブラザトン ダンカン


印刷用紙協賛: 平和紙業株式会社

紙のプロである平和紙業さんに印刷用紙を提案していただきました。素材や加工が特徴的なテクスチャーや豊かなカラーバリエーションとのコラボレーションはとても興味深く新しい発見につながりました。紙の説明に草尾さんのコメントを追記しています。

皆様からのデザイン、制作に至るコンセプトを拝見しながら紙を選択しました。風合いやカラーも幅広く選びましたので、 皆様にとって新しい気づきになれば幸いです。

平和紙業株式会社
販売推進部販売推進課
草尾則幸

僕たちはあてどなく漂流する。
つながる星座、変わる景色と遠ざかる過去。
きっといつか帰る場所までどんな自分に出会うだろう。
生まれ変わる世界で立ち止まらなくてもいい、
どんな迷宮も出口があるから信じて進むだけ。
大地を蹴り、空を仰ぐ。
大丈夫、何も問題ない。
自分の帰る場所に向って旅は続く。

相澤 竹夫 (Takeo Aizawa)

アートディレクター、グラフィックデザイナー
広告の企画制作、ロゴタイプ、パッケージデザイン
ブックデザイン、CDカバーデザインなど
グラフィックデザインの制作を中心に活動 

新アトモス(マリン / 90kg)

雲のようなマーブル模様が美しく映えるファンシーペーパー。
atmosphere(大気)を名に冠するこの紙は過去も未来も場所も包みこみます。


月に1度は住んでいる街から100km以上離れる、また年に1度は日本を離れることは、私が普段から意識をしておこなっていることです。100km以上離れることにより生活圏から抜け出し、自分がリセットされたような気分になります。また日本を離れることにより異文化に触れ、改めて自分のいる環境や日本という国を知ることができ、しいては自分自身を知ることができます。だから私にとって旅は必要不可欠なんです。

アオキジュニヤ(Aoki Jr.)

生い立ち:長野→東京→ニューヨーク→上海→横浜
横浜を中心に「インバウンド需要で横浜を元気にする」をモットーに骨太な分かりやすいコミュニケーションを軸に活動中。

里紙(ゆき / 100kg)

ソフトなぬくもりとナチュラルな優しさを大切にしたカントリー調のファンシーペーパー。
里を離れてみてわかる事がある、日本を感じる、自分と向き合う。


今回は肩の力の抜けた気楽なものにしたいと考え、コミックのタイトルのようなイメージを意図して作りました。「北海道を食べ尽くしたい。」という、口に出すと少し(いやスゴく)恥ずかしいバカっぽい秘めた願望を、叫ぶ代わりにドーンと用紙いっぱいにレイアウトしてしまいました。右下のオブジェクトは、北海道をネタにしたお寿司です。

石原 利貴(Riki Ishihara)

1982年京都生まれ。嵯峨美術短期大学卒業。古代の文字やアジアの文字が好き。現在はロゴデザインの制作をメインとして活動。知り合った人の名前ロゴを趣味で勝手に制作し、SNSでロゴ日記も気軽に更新しています。2016年日本タイポグラフィ年鑑ベストワーク。

Mag-N(プレーン / 94.5kg)

ざっくりとした肌合いと敢えてくすませた色合が特徴。雑誌古紙50%を配合。
コミックといえばこの紙。コミック紙が再利用されているMagazineのMagです。


2022年1月8日〜10日にTanemakiさん(広島県・大手町)のギャラリーにてmaillet brass thingsの真鍮アクセサリー展示販売会は、コロナ禍の状況が急変し、「蔓延防止等重点措置」が適用された為、延期になりました。オーナー様からお客様の声をお聞きし、私達は、県をまたいでの訪問になるので、お客様の心配を取り除き、安心・安全の中で開催する方向になりました。心の声を聞き、周囲に「みみをすます」ことの大切さを感じながら、21年前の大学時代のデザインを思い出す「記憶の旅」となりました。

伊勢田 雄介(Yusuke Iseda)

こんにちは。私は、家族で家内製手工業をしながら暮らしています。日々は、家事やマーケットに出かけたり散歩したり。仕事は、常は真鍮アクセサリー屋さんですが、頼まれるとグラフィックデザインをします。ライフワークは、タイポグラフィについての研究です。私は、人生を楽しみながらゆっくりコツコツ暮らしています。

キュリアスメタル(ライトグレー / 103kg)

金属を思わせるような、輝きときらめきが華やかな両面パール紙。
長年、コツコツと、今ではいぶし銀のような渋みを感じます。


真っ青な空、ギラギラと輝く太陽。地下水が石灰岩で濾過されてできたセノーテは、どこまでも透き通っていて吸い込まれそう。マヤ時代には、この泉に大量の子供を供物として投げ込んでいたらしい。巨大ピラミッドにはチャックモールという台座があり、取り出された心臓が捧げ物として置かれていたらしい。生と死がドロドロ混沌としているのに、能天気で陽気なメキシコの不思議さに、たまらなく惹きつけられる。喉がカラッと乾いたらコロナで潤し、たまらなく辛いチリ料理とテキーラでアミーゴ♪
そんな旅が、また、できるよね。

今井 桂子(Keiko Imai)

グラフィックデザイナー
idG株式会社代表取締役
ワクワク楽しい問題解決を目指しています。
読書と美味しいお酒を呑むことが大好きです!休日は、山登り、キャンプ、サウナ、スキー、パックラフトなどアウトドアを満喫したい。コロナを機に畑を始め、自然にやさしい暮らしを実践中。
https://happy-idg.com/
https://www.facebook.com/keiko.imai.338/

岩はだ(ねんど / 100kg)

岩肌のテクスチャーを生かし、特徴的な岩の色をモチーフにしています。
古代では残酷なことでもそれが日常、立ち止まらず前へ進む姿が頼もしく明るさを感じる。


陽炎
タイは常夏の国。
湿気と熱い空気が立ち込め遠くで陽炎となる。
私の旅はいつもひたすら歩く旅。
好奇心のままに地元市場を巡り、細い路地に入り、人々の生活を肌で感じる旅。

入山 隆一朗(Ryuichiro Iriyama)

1973年福岡県生まれ。印刷会社企画部を経て、サンデザインアソシエーツに入社し23年。パッケージデザイナーとして在籍。書文字・カリグラフィを得意とし和風テイストの食品パッケージを多く手がける。趣味は、古着、古本、美術館めぐり、アジア旅行。

ケンラン(ディープレッド / 135kg)

44色の多彩な色揃えと7連量の厚さで幅広い用途に対応する色ボード。
赤の極み! ディープレッドは熱すぎます!


「旅」という字は、ふたつの文字から成り立っています。
向かって左側は、「方向」の「方」。古い字体ではそこに「人」という文字を添えて、吹き流しをつけた旗竿を意味しています。右側の下部分は古い字体を見ると「人」という漢字をふたつ並べた形です。これは「人」が複数いる様子を表します。
「旅」という字は、祖先の霊が宿る旗を掲げて、多くの人が出て行くことを意味しています。
あのひとにあいたいな。つぎはどこにいけるかな。
ふんわり、ぼんやり考える日々。
未来に向けた「旅」の日々を表現しました。

上田 寛人(Hiroto Ueda)

1976年生まれ。1999年大阪芸術大学 芸術計画学科卒。
大学卒業後フリーランスデザイナーとして活動。
専門学校の広報や福祉施設のパンフレット制作、Web媒体などメディアにとらわれない形で多岐にわたる活動を行う。
また、大学や研究機関の研究成果のアウトリーチ活動を開始。Web技術を中心に使いやすいUIデザイン、デザイン情報アーキテクチャ設計を意識したコンテンツ作成を行う。同時にタイポグラフィのイベント「和文と欧文」を有志とともに企画。タイポグラフィ関係の勉強会やイベントを開催。普及に務める。
2019年ATypI(国際タイポグラフィ会議)東京大会に参加。沖縄方言のための文字「しま書体」についてのプレゼンテーションを行い、高評を得る。
発表時のプレゼンテーション: https://www.youtube.com/watch?v=ZYbrYsN4NEU

ハーフエア(ヘンプ / 90kg)

嵩高で軽く、自然な色味とナチュラルで素材感のある風合い。
掴みどころのない空気のようで、“ふわふわ” 四方八方と彷徨う。


旅には様々な形があります。同じ出発地でも何通りでも到達点があります。
そして旅はどこまでも続くのです。

内之倉 彰(Akira Uchinokura)

1982年生。兵庫県西宮市出身。クリエイティブユニット5PRODUCEメンバー。
米国NYでの活動後、拠点を大阪に移す。
グラフィックデザインをベースとし映像・モーショングラフィックスに取り組んでいる。

パターンズF(ダイヤ / 並口)

使い勝手の良い細かなエンボスによる豊かな表情を持った高級塗工印刷用紙。
エンボス柄が織りなす何通りものパターンズ。


Footprints
一歩づつ進んでいると、足元には行動・進捗・大事な瞬間・思いがけない結果・待ちかねている期待の痕跡が残る。旅の足元には、デザインゴールを追求することと常にアイディアや刺激を受け入れることの推進力があります。足元は希望や不思議さを包囲します。その中には友達との出会いと交流、他にはイベントの発見・参加、博物館へ訪ねる余暇の時間とお休みで四季を感じる。一歩づつで暖かく優しい思い出作り、モティベーションを与えてくれる。

エリック・チャン(Eric Chan)

香港理工大学、大一藝術設計學院を卒業。
香港グラフィックデザインスタジオ「Leo Burnett and Bates」から1991年に独立。
「Eric Chan Design Co. Ltd.」を設立
英国D&ADのイエローペンシル賞、USのONE Show金賞、TOKYO TDC賞、
日本タイポグラフィ協会のベストワーク、HKDA金賞、世界ポスタートリエンナーレトヤマ金賞
など国内外を問わず400以上を受賞。
香港デザイナー協会の委員長(2002-2008)と副理事長(2008-2014)を歴任。
英国D&ADの受賞会員、日本タイポグラフィ協会、NYTDC会員

OKフロート(ホワイト / 90kg)

加熱型押しによって型押しした部分の色が変化するファンシーペーパー。
ホットスタンピングで型がつく。足跡もくっきり。


Yearning for Nature.
山と海の大自然に出かけるのが好き、そびえ立つ山々と広大な海を眺めて、心が安らぎ、心体が解放される。 都市に住んでいる私は、コロナの時期にそう簡単には行けないことで特に恋しくなる。
グリッドのラインで「山」と「水」の文字を作り、心のそこにある風景の印象を表現した。

王 怡琴(Yi Chin Wang)

台湾台北生まれ、2007年京都精華大学大学院芸術研究科修了。
現在真之助事務所にグラフィックデザイナーとして勤務。2010年上海万博大阪館シンボルマークデザインで最優秀賞に選ばれ、アジア太平洋デザイン年鑑でベストワーク受賞、HKDAデザインアワード、ADC年鑑、日本タイポグラフィ年鑑など多く入選、受賞。

エコ間伐紙N(- / 90kg)

間伐材を利用した、木のぬくもりのある非塗工紙。
山の自然は木々の集合体。水面に映る風景も、木が元気に育っているからこそ美しい。


一人一人の「旅」は唯一無二である。
私の故郷は珥陵鎮という中国江蘇省にある古い鎮である。あまり知られていない小さな普通の町だが、私にとっては人生の旅のスタートラインであり、きっとゴールにもなるため、最も大切な場所である。
ポスターには、故郷の食べ物、橋、祖母のベランダに干してある洗濯物、ドアに貼られている「福」の漢字、子どものころに遊んだゲームなどの要素が盛り込まれている。 近年コロナウィルスの拡大で長い間故郷に帰っていないが、そのような美しいものや思い出がよく頭に浮かんでくる。

汪 宣丞(Xuancheng Wang)

中国江蘇省出身。
2018年汪宣丞設計研究室設立。
グラフィックデザイン、撮影、絵画に関する仕事をしている。
日本タイポグラフィ協会会員、中国グラフィックデザイン協会会員、中国デザイナーサロン会員、中外デザイン研究院理事、中国山東省漫画家協会会員。

新バフン紙N(つち / 90kg)

どこか懐かしさを感じる、がさっとした手触りが特長的。
素朴な質感、懐かしい故郷の思い出のような味のある紙です。


すべてはどう思うかどう動くか次第。いざ。

大崎 善治(Yoshiharu Osaki)

1973年埼玉県生まれ。グラフィックデザイナー、書体デザイナー。書店員、写植オペレーター、デザイン会社勤務などを経て1999年よりフリーランス。フォントワークスより和文書体「くろかね」「あおかね」を発表。

グラフィーCoC(ホワイト / 100kg)

環境に配慮された優しい肌が特徴の非塗工印刷用紙。
記号・図形・文字にはこの紙が一番! 多くのクリエーターに重宝される優等生。


あの日、巌流島にいた。
34年前のことですが
現在も鮮明に覚えています
失恋はつらい
こればかりは経験しないとわからない
これからの人生の誓いも
いま考えればあどけないと思いますが
あの日に誓ったことは
今でも継続中です

小川 航司(Koshi Ogawa)

グラフィックデザイナー
桑沢デザイン研究所卒後、数社のデザイン事務所を経験し2020年8月にKO DESIGN INSTITUTEとして独立。
30年以上グラフィック・エディトリアルデザインに従事。
第45回造本装幀コンクール日本印刷産業連合会・会長賞をはじめ国内外での受賞歴あり。
日本グラフィックデザイン協会会員。

トーンF(CG1 / 90kg)

寒色系と暖色系のグレーの階調を、それぞれ9色で表現したファンシーペーパー。
暖色、寒色、恋愛の明暗も心の持ちようで変わります。


過去に訪れた記憶の景色はだんだんと欠けだし、埋めるためにも再び訪れることは叶わず。
未来に訪れたい想像の景色はいっこうに色づかず、色づけるために訪れることは叶わず。
現在ぽっかりと空いた頭の中の景色の中で、 どこからが旅で、どこまでが旅で、どこで旅になるのか。ギリギリ旅だろうというところで、まだ探っています、まだ考えています。
そしてまだ埋まりそうにないです。

オガワヨウヘイ(Youhei Ogawa)

オガワヨウヘイデザイン
アートディレクター デザイナー 他いろいろ
日本タイポグラフィ協会 西部研究会委員会委員長

OKサンドカラー(ホワイト / 90kg)

染色をした粒が華やかさを出し、繊細でありながら躍動的な雰囲気のファンシー。
思い返しても頭の中は砂の嵐、しかし、いつかは晴れます。


記憶

奥村 昭夫(Akio Okumura)

1943年東京生まれ 男 デザイナー

エアラス(スーパーホワイト / 100kg)

空気「air」が私たち「us」にもたらした、紙のさらなる可能性を実現した高級塗工印刷用紙。
空気を多く含むエアラス、フットワーク軽くどこまでも…。


私が小さい頃は宇宙は遠い場所であった。宇宙はUFOが飛来する未知なる世界で怖さもあった。しかし2022年は実業家の前澤友作氏が日本人民間初めての国際宇宙ステーション滞在をした年だ。
私たちの旅行は徒歩から自転車、自動車、電車など交通の発展で飛躍的に進歩してきた。さらなる進歩により宇宙旅行も身近なものになりつつあるのかもしれない。

笠井 則幸(Noriyuki Kasai)

グラフィックデザイナー/日本大学芸術学部デザイン学科教授。
日本大学芸術学部卒業後、日本デザインセンター入社。2007年に同社を退社し現在に至る。主な受賞歴として、毎日広告デザイン賞、朝日広告賞入賞。SDA賞最優秀賞、準優秀賞受賞。
Graphis Annual Gold award(2007、2010)
ブルノ、モスクワ、ラハティ、メキシコ(2008、2010)などの国際ビエンナーレ、世界ポスタートリエンナーレトヤマ入選(2007、2009)。
文化庁メディア芸術祭推薦作品など。タイポグラフィを基軸とした様々なコミュニケーションデザインを手がけている。
JAGDA、日本タイポグラフィ協会会員。

メタルック(シルバー / 110kg)

アルミペーストをコーティングしたベーシックなメタル紙。
UFOはシルバーが基本のイメージ、背景の色と逆にしてみても面白い。


漢字は、部首「心」を使う字が多いです。なぜだろうと気になっていたので、この機会に「心」を尋ねてみました。コンセプトは「砧明朝・心の旅」です。
普段よく使う字を大きめにして、左上から横にアイウエオ順に並べました。
なんと最初に「愛」と「悪」が隣同士で登場、「心」は「情」を伴い紙面の中央に鎮座、最後は「恋」と「惑」でした。
漢字の不思議さ、面白さ。何かを言おうとしているのを感じた旅でした。
黒/常用117、グレー/常用外174、合計291字。
「心」のつく漢字は人の気持ちを伝えるので一字一字の読みと意味も入っています。

片岡 朗(Akira Kataoka)

書体設計。砧書体制作所主宰。
2000 年/丸で作った明朝体「丸明オールド」
2005 年/かな 12 種の「iroha gothic」
2009 年/漢字が差し変わる「丸丸ゴシック」
2012 年/共同制作・楷書「佑字」
2013 年/共同制作・手描きの味「山本庵」
2014 年/ 5 種類の極細フォント「芯」
2017 年/「優しさ」と「間」の「砧明朝体」
2020 年/未来フォント「魁」発表。

まんだら(純白 / 厚口)

108色の豊富な色ぞろえの和紙。和紙独特の風合いやしなやかさを持つ。
誰の心にも宿る煩悩、曼荼羅と向き合うと心が安定します。


訪れずとも「古郷(ふるさと)」
1990年代初期、夫と二人で「新疆ウイグル自治区」を訪れる旅行計画を立てた。出発直前に私の祖父が他界した。そこで夫のみ旅立つよう背中を押した。写真はその時の1枚。優しく零れる笑顔が、大らかで初々しい。私は訪れていないのに、カシュガルが懐かしい。
あれから30年以上が経過した。ニュースによると、社会情勢は刻々と変化しているようだ。ずっと変わらず笑顔に出会える「ふるさと」であってほしいと願っている。今、ウイグルへ、カシュガルへ旅したい。

葛本 京子(Kyoko Katsumoto)

株式会社視覚デザイン研究所 代表
1977年(株)ジャパン・アド・クリエイターズ入社。
アートディレクターとして大手企業の広告制作に従事。1988年(株)視覚デザイン研究所設立。
日本の伝統的な書体とは一線を画す、オリジナリティのあるタイプフェイスに挑戦。163書体のデジタルフォントを創作・発表。制作の傍らフォントの法的保護についての研究と活動を行い、執筆。
「文字書体の法的保護-タイプフェイス・フォント・ピクトグラム(青山社)」、JTAティー誌知財特集、タイポグラフィ学会誌ほか。

PHO(- / 90kg)

Photograph(写真)の頭3文字。富士フィルムが、写真のプリント用に開発した用紙が出発点。
昔は笑顔があった事実、それと今の現実、またあの笑顔をphotographで見てみたい。


昔は本で今はネットで世界中の観たいものが観れる
観れるが網膜に映っているだけだ
そこの空気に触れることで観るが完成するだから旅がある
そしてリアルでしか楽しめないものが「食」
たとえ味をお取り寄せしてもそこの空気に触れないと真に味わったことにはならない
観たいものを観る感動と
そこで食べられている未体験の味を楽しむ興奮かもしれない
遠くからだと見えなかったり逆に見えたり
近づくと見えたり逆に見えなかったり
そんな非日常な体験をさせてくれる旅を
タイポグラフィでデザインした

神谷 利男(Toshio Kamitani)

グラフィックデザイナー アートディレクター
イラストレーター 画家
京都生まれ
京都市立銅駝美術工芸高校図案科卒
京都市立芸術大学デザイン科ビジュアルデザイン専攻卒
神谷利男デザイン株式会社 代表
パッケージデザイン ブックデザイン
イラストレーションを主体としたグラフィックデザインに就く
近年は絵画の個展やグループ展に積極的に参加する
日本パッケージデザイン協会会員
日本タイポグラフィ協会会員    

ICHIMATSU(ホワイト / 95kg)

正方形が繰り返す幾何学的な凸凹感が、指先からリズムとなって伝わり、想像力を刺激します。
ネットでは分からない、触れることで味わえる凸凹の感触。


20代の頃、勤めていた会社のヘルプで上海へ。
観光も叶わず、一週間ひたすら働いた帰りに見つけたのが金農の書画集で、初めての書体制作も金農を参考にするほど、独特の書風に魅了されました。そして20年後のコロナ禍に大阪市立美術館の揚州八怪展で作品を堪能でき、漆書と呼ばれるデコボコした漢字に改めて仮名を混ぜてみたくなりました。晩年の書で、明るい詩ではありませんが、試行錯誤を楽しみながら書いたのではと想像しています。上海の金農との出会いが、私の文字旅への門出だったのだと実感したひとときでした。

神田 友美(Tomomi Kanda)

神戸生まれの書体デザイナー。
FONT1000から「椿」「桜」、フォントワークスから「つばめ」「カッコウ」、モリサワ(タイプバンク)から「オーブ」、「エコー」、imagenavi(デザインポケット)からTandeMとして「ミモザ」をリリース。

新利休(びーどろ /120kg)

情緒的な和の世界を表現するレトロ調のファンシーペーパー。
明治時代の新聞文字を連想したレトロ感があり、ビードロで遊ぶ挿絵が頭に浮かぶ。


Under the influence of COVID-19, my trip was a bubble.
COVID-19の影響では旅が泡のようでした。

洪衛(Hong Wei)

Alliance Graphique Internationale、Japan Graphic Designers Association及びJapan Typography Associationの会員。Day Day Up Design Consultancyのクリエーティブダイレクター。
この30年、文学者の視点で中国の文脈からデザインの可能性を調査し、仕事は主にブランド・フォント・本・家具・陶芸・書道・スペースを行い、他にリサーチやクリエーションの活動も続ける。作品は国際コンペで350賞以上に授賞し、その他に目覚ましい功績もある。

かぐや(満月 / 90kg)

月の裏側のクレーターをモチーフにした型柄ファンシー。
意味・理由は違えど、旅も経済もバブルのごとく儚く弾ける。


road
作品の線は、道を表現しています。それぞれの道から、いくつかある目的地にいく、点は、人との出会い、交わりを表現。

小玉 歌峰(Kahou Kodama)

静岡県河津町出身。多摩美術大学造形表現学部卒。
書道師範。第35回東京書作展にて東京新聞賞受賞。サントリー伊右衛門「濃」、FIFAクラブワールドカップジャパン2015「日本開催」の題字を揮毫。2021年、日本テレビドラマ「二月の勝者」題字を担当。

新フエルトン(ホワイト / 90kg)

独特な表情、温かみのある手触り。
点と点を結んだ道は、一画一画を描く文字と似た者同士。


Big Wall
パンデミック前、気軽にどこへでも出かけられた頃が幻のように感じる。
近場から遠方まで「旅」には様々な制限や個々の裁量が必要になってしまった。
それを煩雑な障害と捉えるか、解決できる課題と捉えるかは自分の心持ち次第。
今はいつかの幻想のようでもあり、目の前に立ちはだかる大きな壁のようでもある。
思いつきでふらっと旅に出られる日が待ち遠しい。

坂口 拓(Taku Sakaguchi)

三重県出身大阪市在住
グラフィックデザイナー/イラストレーター
IMAGINATIONという屋号で活動中。
シンボルやタイポグラフィ、プロモーション用アイテムなど、印刷物を中心にデザインやイラストの制作を行う。
自主制作やアートワーク制作も積極的に行い活動の幅を広げている。
sakaguchitaku.com

ジェントル(ロック / 135kg)

コストを極力抑えて最高級のボリューム感あふれる印刷表現を可能にした高級塗工印刷用紙。
壁があれば登りたくなる、ロッククライミングのように!
登り切れば、希望の未来が見える。


旅を考えた時、「人生って旅そのものなのでは」と思いました。
ポスターに使用した写真は、結婚式を挙げたハワイへ20年ぶりに訪れた時に撮影したものです。
妻と20年間を過ごし、また出発点に戻ってきてこれまでの大切な思い出を思い出すことができました。
これからも、人生という旅を思いっきり楽しんでいきます。

佐藤 浩二(Koji Sato)

株式会社コージィデザイン代表。
主な仕事に「ソフマップ」企業ロゴ、「オリコン」企業ロゴ及び「顧客満足度調査エンブレム」、「滋賀医科大学」VI、「大阪アーツカウンシル」ロゴなど。日本タイポグラフィ年鑑2010年・2016年ベストワーク、DFA Design for Asia 2019 ブロンズ、DFA Design for Asia Awards ブロンズ、香港、ワルシャワ、ラハティの国際ポスターコンクールなど国内外で入選多数。共著書に「ロゴデザインの現場(MdN)」がある。大阪芸術大学非常勤講師、大阪芸術大学短期大学部客員准教授。
https://cosydesign.com/

OKミューズキララ(ホワイト / 90kg)

木漏れ日のように降り注ぐ黄金色の輝きを持つ、豪華さと華麗さを兼ねたファンシーペーパー。
大切な思い出はキラキラと、いつまでも色褪ることはありません。


方位マークをモチーフに、寄り道や迷子など、「旅」の道中をコンセプトに制作しました。

島田 潤(Jun Shimada)

グラフィック・デザイナー、埼玉県出身

北雪(- / 90kg)

雪のような独特の白さが特徴の非塗工印刷用紙。
見渡す限りの銀世界、ここがどこなのか、どこにいけば良いのか分かりません。


近くでも遠くでも、山でも海でも日本でも海外でも旅する場所はどこでも良いと思っています。今は、行動としても・心のあり様としても電車であてもなく気軽に無邪気に行ける旅にでたいものです。
のほほんとするような。

白田 啓秀(Keishu Shirata)

アートディレクター
1980年福島県生まれ。
東京と群馬を拠点にフリーランスとして活動。

マシュマロCoC(- / 90kg)

高白色で平滑性が高い。オフセットからインクジェットまで多用途に対応。
プリンター適性有り、価格も手ごろ、気軽さが自慢です。


そらとらべる
梅(むめ)かおる季節に
遠い空の旅を想いました
書体:れんぴつ60

新海 宏枝(Hiroe Shinkai)

奈良在住
アトリエ新海 デザイナー
2021年 京都清華大学 非常勤講師

江戸小染はな(うすべに /100kg)

江戸小紋の柄に由来。
春を感じ、一早く文字(気持ち)だけが空へと旅立ち、浮かんでます。


旅という文字は、いろんな方向を示している。
行けば心が自由に動く。だから人は旅をする。

地球を旅する。さてどこに行こうか? 
東西南北、方角を決める。文字で旅する。
筆の向きと勢い。上下左右、斜めに方向が生まれる。
今回は初めて実験ということでiPadを使って制作してみた。
ブラシツールとペンタブからおもしろいいカタチが生まれる。
あちこちに向かっている手書きのような「旅」ができあがった。

杉崎 真之助(Shinnoske Sugisaki)

デザインを情報の構築と印象の設計ととらえ、明快で良質なコミュニケーションの実現をめざす。
新しい試みを精力的に発表し、一貫したデザイン理念で、ブランディングから情報デザイン、空間グラフィックまで、幅広く活動。 国内外で多くの展覧会や講演を行う。
NYADC、NYTDCや国際コンクールで数々の賞を獲得。
ハンブルク美術工芸博物館、香港歴史博物館などに多数コレクション。著書にアタマとカラダでわかるデザイン他。
株式会社真之助デザイン代表、大阪芸術大学教授、AGI国際グラフィック連盟会員。

エスプリFP(- / 110kg)

一般印刷用として表面強度を特に配慮した上質ベースのキャストコート紙。
デジタル画面の白さと平滑さを紙で表現できるエスプリコート。


元来、構えた「旅」というものがとても苦手で、何故かというと、列車や飛行機、船の発車時刻に間に合わず、乗り継ぎに失敗したらというプレッシャーで嫌になるのである。
出だしに「間に合わなかったらどうすんの?」などと言われたら、即、やめて帰りたくなる。
現地に着いたらそこからは、どこそこ行って、次あっちではなく、適当に彷徨う旅が一番愉しい。
遠出ではなく、普段のそこらを歩いて、適当な道を彷徨うのが愉しい。
と、歳くってきたのも「旅」だろう。
ここまでぶらぶらやってきた。もうちょいふらふら行こう。Journey.

関根 祐司(Yuji Sekine)

1961年 兵庫県西宮市生まれ。1984年 京都市立芸術大学 美術学部デザイン科 ビジュアルデザイン専攻卒。株式会社TCDを経て、1995年 関根デザイン事務所 設立。現在に至る。
関根デザイン事務所 主宰 / 奈良芸術短期大学 専任講師 / 帝塚山大学 非常勤講師 / 大阪成蹊短期大学 非常勤講師
1997年 入会 98年より西部研究会委員会委員

Mr.A-F(ホワイト / 90kg)

ラフな肌合いと自然な印刷仕上がりが特長の「Mr.A」。
Aは始まり、スタート。誕生から現在までのミスター。


TRAVEL×TRAVEL
人類を脅かす感染症のパンデミック(世界的大流行)で私達は気軽に旅行をすることが難しくなりました。再び気軽に旅行できる日がやってきて、新しい地域や人とのふれあい、発見、喜びを楽しむことができますように。そんな思いを込めて「あれはなに?」「次はどこへ行こう?」旅の道中のかけあいのやり取りを表現しました。

仙石 吉徳(Yoshitoku Sengoku)

グラフィックデザイナー/SENGOKU DESIGN 代表
島根県生まれ。阪急阪神東宝グループのデザイン会社を退社後、独立。企業のブランディングから各種広告物やパッケージなどグラフィックデザインを中心に活動。中小企業・地域活性化のサポート、企画展、講演会、審査員等に数多く活動している。大阪モード学園 非常勤講師。日本イラストレーター協会 理事、日本グラフィックデザイナー協会、総合デザイナー協会、日本タイポグラフィ協会 各会員。

OKフェザーワルツ(ぞうげ / 90kg)

綿毛のような粒を散りばめたファンシーペーパー。
ウキウキ、舞躍りたくなるときが間もなくやってくる。かも…


Trip
旅—–TRIP に近い言葉で TR で始まる単語がいくつかある。おそらくTRIPから派生したのではないかと、言葉の創世の旅に遡ってみた。

高田 雄吉(Yukichi Takada)

CID研究所代表。Brighton Hotels、京都橘大学、近鉄不動産などCI・ブランドデザインを中心に活躍中。
愛知万博誘致シンボルマークグランプリ、大阪府ドーンセンターシンボルマークコンペグランプリ。
第5、6回ウクライナ4th Block奨励賞。15thジシュフ国際シアターポスタービエンナーレFUD-UJEP特別賞。大阪芸術大学教授。

グラフィーハンプF(- / 90kg)

帆布(HANP)のような穏やかな表情と柔らかな紙質が特徴。
帆を張って風を受けて、この紙も様々なところに旅立ってほしいです。


TRAVEL
時間やお金に余裕ができた時、人はまず「旅」をしようと考える。
我も我もと海外へ旅行する人数は、コロナ前で年間2000万人を数えた。
それが突然制約を受けてほぼ2年、限りなくゼロに近い。
気持ちはウズウズと欲求が募り、意識下でニョロニョロと出口を探してうごめく。
晴れて解放されるその時まで、自分の内なる旅を充実させることに。

高橋 善丸(Yoshimaru Takahashi)

グラフィックデザイナー、アートディレクター。
欧米からアジアまで講演、審査員、企画展等に多数参画。
著書に『ここちいい文字』『ここちいい本』パイインターナショナル、「曖昧なコミュニケーション」ハンブルク美術工芸博物館、他多数。
株式会社広告丸主宰。大阪芸術大学学科長・教授。
中国寧波大学客座教授。日本タイポグラフィ協会理事長。

新草木染(わらいろ / 並口)

草木染のような渋いカラーバリエーションの紙に繊維を散らし、自然な和の風合いを創り出した。
うごめく欲求をリアルに細分化してみました。


旅の備忘録
飛行機に乗って遠くへ行こう。
雲を抜けて着いた場所には、
いつもと違う空が広がっている。
いつもと違う空気を感じながら、時間を過ごす。
のんびりと気ままに遊んで、思いっきり楽しむ。
そんな旅にまた行きたい。

多喜田 保子(Yasuco Takita)

illustrator/graphicdesigner
idG株式会社
なかなか旅に行けない日々。
『なごや和菓子旅』にて和菓子を描くことに。
餡子苦手だったのが、つぶ大福にはまりました。
https://happy-idg.com/

フリッター(ホワイト / 110kg)

紙質・風合はソフト仕上げ。
メレンゲのように“ふわふわ” 、空想の“吹き出し” にも最適です。


旅 と 私
旅先で 日常の私とは 少し違った感覚を持つ
もう一人の自分の存在に 気がつくことがあります
例えば 宿の近くで野良猫を見た時 表情や
佇まいから
その猫に 勝手なドラマを空想する私
一方で 家の周りで野良猫を見た時の私の心は
なんとも殺風景なことか
日常 と 非日常
旅で見た非日常の風景も 慣れてしまえば
そこにある景色は 何も変わっていない
違うのは 見る時の 自分の心
結局 どちらも 本当の私なんだ   

武井 衛(Mamoru Takei)

1998年大学卒業後、株式会社レマンに入社。複数のデザイン事務所、広報部等を経て、2015年「MARKLE DESIGN」を設立。
独立時に『ロゴマークを軸に仕事をしたい』という思いから、マークと衛を掛け合わせて「MARKLE」という屋号にしました。
2019年に、実際に仕事で作成したロゴデザインと制作過程・コンセプトを公開した「LOGOロゴ展」を、6月5日(ロゴの日)に友人と共同開催。
場所:平和紙業ペーパーボイス東京
2022年は「MARKLE DESIGN」7周年。
今後さらにロゴの魅力を追求していきたいと思います。

ディープマット(アッシュ / 100kg)

紙本来の触感があるナチュラルな肌と厚さ深くシックな色が特長。
日本の風景はとてもディープ、心象によっても深みが変わります。


今回のテーマを伺い旅の場所、体験の記憶を辿りましたが最終的に初心に戻り「旅」の漢字を少ない手数で表現する方法を選びました。
この手法は文字を抽象化し新たな気づきを感じられます。
線がコトバを連想させるような風合いを込めて描きました。
青葉が空を舞うような。
水滴が水面に波紋を響かせるような。
私にとっては旅をしている時に五感に響くような感覚です。
いつもならばもう少し細めの筆を手に取るのですが今年の目指したい佇まいを一つ一つのことを穏やかに受け入れられるようないつもよりも毛量のある柔らかい筆を選びました。

寺島 響水(Kyosui Terashima)

書家。「書くことを通して、社会とつながっていきたい」という想いを「響水」の雅号に込め、2010年から作家活動を開始。
制作現場受賞歴はGraphis Branding7最高賞や19年ADC賞、20年JAGDA賞、第17回亀倉雄策賞ノミネートなど。
提供作品にタイガー「炊きたて」50周年ロゴ、白鶴天空「あわね」「みとせ」、奈良興福寺中金堂落慶法要 散華「まわり花」がある。

五感紙(細目 純白 / 100kg)

心と体に自然のリズムが響いてくるフェルト調ファンシーペーパー。
旅は五感そのもの、どう感じるか、何を感じるかで印象は大きく変わります。


「旅」と聞いて思い出されるのは、大学時代の山登りの旅。
登山用の地図が不可欠のツールなのですが、慣れてくると等高線の詰まり具合でどんな道なのか想像できたりして楽しいのです。地図を片手にした先輩が、いつも部室で登山計画を妄想していたのが思い出されます。

登坂 昭夫 (Akio Tosaka)

1974年横浜市生まれ。明治学院大学社会学部卒。
印刷会社、デザイン制作会社勤務を経て、2016年トブトリ株式会社設立。ヒューマンアカデミー横浜校 講師。

モコ(ピュア / 100kg)

柔らかなレイド柄が特長のファンシーペーパー。
スジ入りの「モコ」を折ったり、曲げたり、等高線つきのリアルな地図の出来上がり。


今回のテーマを聞いた時、「自分が今まで行ったことのある海外の場所をビジュアルでまとめてみたい」そんなふうに思い立った。
そうして「旅」という漢字を眺めていると、まるで地図の道のように見えてきた。
海外ではいつも必死で地図を眺めて、時には行ったり来たり、迷い不安になりながらもどこか楽しんでいたことを思い出す。
「旅」という字をどこかの街の道になぞらえ、自分が訪れた都市名を私にしかわからない配置で作ってみた、自分だけの地図。

冨貫 功一(Koichi Tominuki)

1969年サンフランシスコ生まれ。東京造形大学卒業。
アートディレクター/グラフィックデザイナー。
ソニー・ミュージックのハウスデザイナーを経て2003年独立。「有限会社ROOTS」を設立し主にCDジャケット、DVD・Blu-rayジャケット等の音楽・映像関連パッケージ及びアーティスト関連グッズ、公共施設刊行物エディトリアル、ロゴ、装丁など幅広いジャンルにてグラフィックデザインを手がける。近年はプロダクトデザインにも領域を広げている。
日本タイポグラフィ協会会員。

OKレインガード(- / 110kg)

屋外など水に濡れる場所でも使用できるよう開発された印刷用撥水紙。
世界中、どこでも持ち運びOK! どんな地図でも描けます。


カッパドキア
一度は行ってみたい地カッパドキア。
カッパドキアの地形は約1100万年前に始まったとされる火山活動で溶岩や灰が噴出し、堆積した地層を雨や風で削り取られて今のおもしろい形になったといわれています。自然が形成しているものなので今も変化し続けているのだろうと思います。文字も歴史の蓄積やさまざまなことが削ぎ落とされて今があり、これからも変化し続けると考え、実際に近くでみたことはないカッパドキアが形作られた過程を想像し、「HISTORY」という単語を積み上げて立体的にし削り取られたような文字を作りました。いつかはきっと自分の目で見てみたいです。

友草 裕太(Yuta Tomokusa)

グラフィックデザイナー
1984年 大阪生まれ。デザイン事務所など数社経験後、2017年からトモクサデザインとして活動中。ロゴ・CI・VI・エディトリアル・ブランド・パッケージなど幅広くグラフィックデザインを制作。飲食店や美容系サロンなど店舗に関わるグラフィックや日本酒ラベル、シードルラベル、Webデザインなどにも関わり、さまざまなジャンルの総合的な視覚デザインを展開。
2020年 日本タイポグラフィ協会 入会
日本タイポグラフィ年鑑 2021、2022 入選

MagカラーN(サンド / 100kg)

ざっくりとした肌合いと敢えてくすませた色合いが特長。
文字(インク)も雑誌から紙とともに再生され、新しく紙の風合いとして誕生します。


道に迷う旅は楽しい=Traveling is fun when you get lost
知らない道に迷い込んだりすると不安な気持ちになりますが、自分にとって旅行は常に冒険心を駆り立てます。ドキドキ感とワクワク感が堪らなく好きです。“苦あれば楽あり”トラブルや失敗談は誰しもあります。思わぬハプニングで楽しい想いをする事もあります。迷いに遭遇すれば、また違った旅の楽しみ方や発見があります。
─ a lost journey / a fun trip ─

中島 安貴輝(Akiteru Nakajima)

東京新宿生まれ。日本大学芸術学部卒。専門分野=視覚言語・タイポグラフィ・ピクトグラム・イデオグラム。東名高速道路のランドマーク、モリサワマークフェイス、標準絵表示Picto Graphics出版他。1964オリンピック東京大会組織委員会デザイン室スタッフ、日本橋髙島屋宣伝部、EXPO’75沖縄国際海洋博覧会協会でデザイン調整役等を経験。日本大学芸術学部デザイン学科主任・教授を経る。JTA・JAGDA・地球はともだち会員、国際文化研究所理事。受賞=JTA年鑑ベストワーク、ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ入賞、NY.TDC入賞、全国カタログポスター展グランプリ、IOCベストセレクションポスター他受賞。

TANT(I-60 / 100kg)

TANTは、イタリア語で「たくさんの」と言う意味。色数が沢山あることから。
冒険心、ワクワクするイルミナントカラーのTANT。


「日本書紀にも記されているまほろばの生駒山」
記憶は曖昧、記憶は浮遊する。大阪に緑が少ないとよく言われるが、大阪の大都会から緑連なる山々の自然を見渡せる事を知らないだけだ。昔、布施市に住んでいた小学生の頃は近鉄奈良線の枚岡駅から生駒山の山頂を徒歩で目指す小さな旅が好きだった。現在、自宅は生駒山の全貌が見渡せる場所にある。なぜか惹かれる生駒山が日本書紀において神武東征の一節がある歴史的な山である事に驚いた。さらに1933年に建築家のブルーノ・タウトによって生駒山山嶺に小都市計画が構想され、実現しなかったが図面の一部が残されているのだ。

南部 俊安(Toshiyasu Nanbu)

ブランディングデザインの開発:秋田県立美術館のロゴマーク、あべのハルカス美術館のロゴマーク、フェニーチェ堺のロゴマーク、Panasonic Homesのロゴタイプ、公立大学法人大阪のロゴタイプ、Panasonicリフォームのロゴマーク、新湊マリーナのロゴマーク、等のVIデザインに携わる。
デザイン受賞:東京TDCで金賞。香港国際デザインアワ-ドで金賞。コンケラー・デザインコンテストで金賞。台湾・金門平和ポスター2019で金賞。Hiiibrand Awardsのロゴタイプ部門で金賞。ニューヨークADC賞で銅賞・優秀賞、日本タイポグラフィ年鑑でベストワーク賞、等多数受賞。

リベロ(ピュア / 100kg)

夕暮れの地平線のような自然を感じさせる線質を持つファンシーペーパー。
そこに緑が無くても、遠い山並みを見れば少し安心する。


三旅
これから体験してみたい旅、また体験するかもしれない旅を三つのイメージで表現してみました。
journey−出会いの旅
旅中での偶然の出会い。人生が変わるかもしれませんね。eさんて誰だろう。
trip−異世界への旅
体験してみたいけれど、ちょっと怖い束の間の旅。やめておきましょう。
タビ−限りの旅
終末への旅。また、昔は長旅といえば危険や死と隣り合わせでした。

野宮 謙吾(Kengo Nomiya)

岡山大学大学院教育学研究科美術教育専攻修了後、中学校教員等を経て1999年岡山県立大学デザイン学部に着任、現在に至る。授業ではロゴタイプ、ピクトグラム、ダイヤグラム、ブックデザイン等を担当。2006年タイポグラフィ協会に入会、同時に西部研究会委員会に所属。代表作は、岡山県立大学のシンボルマーク・ロゴタイプ、笠岡市立図書館のシンボルマークなど。現在の主要研究テーマは「竹久夢二の筆跡を基にした仮名書体の開発」。
日本タイポグラフィ協会会員、日本デザイン学会会員、岡山県美術家協会会員、竹久夢二学会准会員。

OKミューズエディ(ホワイト / 95kg)

細かい渦のような柄が特長的なファンシーペーパー。
エディは渦巻、巻き込まれると大変! 勇気と用心が必要です。


「旅」という漢字の語源を白川静氏の常用字解で探ってみると旗を持った人が先導して案内している図であることが記されており今の旅につながるものを感じた。また「遊」と「旅」の字の成り立ちは旗をおし立てて、出歩くことを語源に共通するものがあるようだ。
昔の人も出歩くことに精神を自由に解き放つ効果を見出していたようだ。
現代の「旅」の文字を篆書体の文字にメタモルフォーゼしてみると、文字のタイムトラベルのように思えた。

藤田 隆(Takashi Fujita)

60歳から、サントリー商品デザインの現場を離れ、教職に就きましたが65歳で定年の後、成安造形大学や関西学院大学で学生たちと接点を持っています。
教育のポリシーとしては「手で考えて、頭で作る。」「すぐに役立つことはすぐに役立たなくなる、すぐに役立たないことは、人生を豊かにする。」
デザインの仕方までマニュアルで教えるのではなく、まずは自分の考えで作ってみて、それがなぜうまくいかないかを振り返り、その解決方法を頭で見つけ、その上でより良い方向を見出すこと。

コットンライフS(スノー / 90kg)

コットン風特殊柄。ソーダストパルプ10%以上配合品。
(「S」は「ソーダストパルプ」のS)
導く旗の質感をそのままに、まるで布のような紙です。


百聞は一見に如かず
目角を立てるミラノのタクシー
長い目で待つローマの地下鉄ストライキ
目が点になる広大なドジャー・スタジアム駐車場
ちょっと目を離したすきにゲレンデではぐれる
終始目を細めるおとぎの国ヴェネツィア
目が回り跳ねる東大門ディスコジャンプ
ハワイの日焼け日本で白い目で見られる
目にも留まらぬ走りでグアムレースカート優勝
目も遥かにグランドキャニオンの奥行きと深さ
目が眩う展望デッキのニューヨークWTCビル
読めない標識と地図で目が散るフランクフルト
目を三角にして怒らすイエローキャブ

藤野 真弘(Masahiro Fujino)

1965年京都生まれ
1985年嵯峨美術短期大学ビジュアルデザイン学科卒
3社のデザイン会社を経て2012年独立
2012年自らのデザイン実践の場として飲食業開始
2013年株式会社イエローブーツ設立 現在に至る。
協会活動:1998年入会、2003年西部研究会委員会委員長、2012年協会理事(広報担当)

TS-1(N-7 / 100kg)

タントの人気20色を選び、キャンバス地のエンボスで表情をつけた。
“目” には様々な表現がある、TS-1にも色々な“目” の格子柄がある。


ツバルは9つの環礁でできている島国。人口1.1万人、 25.9km²、 最高峰4.6m。
毎年海面の上昇が3.9mm、ツバルが沈んでいる。20cm〜40cmの上昇で非可住になることが、奇跡がない限り決定です。おそらく自分の寿命の間、非可住になる可能性が高い。世界初の放棄される国になる。もうちょっとまじめな旅かもしれないけど、自分の目で知りたい。ツバルの人と話したい。

ブラザトン ダンカン(Duncan Brotherton)

オーストラリア出身で、視覚伝達の学位を取り南オーストラリア大学を2000年に卒業しました。
2001年より日本に在住し、GRAPHIC DESIGNER+THINKER+WRITERとして活動しています。
現在は、メディアのデザインを主な仕事にしているほか、芸大ではデザイン専門英語編集デザインとクリエイティブ研究を教えている、など、デザインとともに編集の大切さを教えています。

新・星物語(カレント / 110kg)

満天の星にかこまれた幻想的なイメージを再現。
奇跡が起こりますように、星に願いを。


旅に気軽に出られなくなって2年ほどが経つが、日常の散歩が自分にとってのそれになる。とにかく散歩が好きで暇さえあれば近所を歩いていて、それは仕事からの現実逃避でもあるし逆に仕事のあれやこれやを考えるための時間なので、逃避どころか一番向き合っている時間だとも言える。同じコースの散歩でも季節は移り変わり、道端の植物も変わっていく。歩いていくと、言葉にならない考え事はそれぞれのカタマリがあるべき場所に収まっていくイメージがある。最善を考えながら実は偶発性を楽しんでいる。それがいつの間にか思考の軌跡となる。

舟山 貴士(Takashi Funayama)

グラフィックデザイナー。東京工科大学デザイン学部助教。
1987年山形生まれ。首都大学東京大学院システムデザイン研究科修了。
デザイン事務所勤務を経て、2018年独立。
https://mt-funa.com/

あららぎ(香木(かぼく) / 110kg)

櫟(いちい)の木の表皮を表現したファンシーペーパー。
「アララギ」は日本の短歌結社誌の名称、日常、散歩、原稿で正岡子規の短歌を連想。


Tリiぷ
TRIPと聞くと、私は遠足の前の日のワクワクした気持ちを思い起こします。Trip、トリップ、とりっぷ。英語で書いてもひらがなで書いてもカタカナで書いてもかわいい言葉。この言葉にスキップしたくなるような気分を込めました。
ところで、結局バナナはおやつに入ったんでしたっけ。どうしても思い出せないのでどうぞ思い出した方、私に教えてください(笑)。

本多 り子(Rico Honda)

1973年、東京生まれ大阪育ち。2012年より東京在住。「世界を少しだけ楽しくするデザイン」をコンセプトにしたブランディングデザインスタジオasianvoice(アジアンヴォイス)代表。ブランディングをメインにプロダクト、パッケージ、グラフィック、広告、WEBなど様々な分野で活動中。国内外で受賞経験あり。日本の伝統文化をポップにリデザインすることをライフワークにしている。趣味はランニング、そして猫派。

ポルカ(トウフ / 90kg)

ガサッとした風合いとカラフルなチリが特徴的。
“POLKA” と“ポルカ” と“ぽるか” かわいらしさでは「Tリiぷ」と良い勝負です。


航夢券
OSAKAは私にとって、未知の留学生活を楽しむ「旅の目的地」で、また実際に暮らしていた「異国の家」と言えます。
新型コロナ禍のせいで、2020年に帰国してから今まで、海外への旅がほとんど不可能なので、まだOSAKAのどこかで何かをしている夢をたまに見ています。
このポスターは、航空券をモチーフにして「OSAKAに行きたくても行けない」という儚い夢のような気持ちを伝えたい。今回の企画展のおかげで、私はOSAKAに行けないけど、作品を通してこのメッセージを渡航していただけてありがたいです。

余 秋子(Qiuzi Yu)

中国・西安出身。
日本タイポグラフィ協会会員、日本デザイン学会会員。
2020年3月に大阪芸術大学・大学院修了。
2020年10月から西安建築科術大学(中国)で勤務。
グラフィック、タイポグラフィを中心にして活動。
Instagram.com/aug.design

Aプラン(スカイホワイト / 103kg)

ソフトな肌合いと淡い色揃えの非塗工印刷用紙。
コロナが収束し来阪される際は「えープラン」立ててお出で下さい。


ステューデントサポーター

landscape typography
夜は静寂とともに、窓ガラスを紙に変化させ、街中のひかりを文字にかえてしまう。わたしはタイポグラフィックな風景をよみながら、友人たちが今なにをみているのか想像し、今日も電車で帰宅する。
旅はいつ始まるかは分からない。いつもと違う方向へ進めば突然始まってしまう。そんな風に突然ではなかったが、彼・彼女らはいつもの場所から先に旅立って行った。次はいつ会えるのだろうか。

足立 優(Yu Adachi)

1998年姫路生まれ。2021年、神戸芸術工科大学ビジュアルデザイン学科卒業。同年、同大学の大学院芸術工学研究科に入学。学部の卒業研究に「風景的タイポグラフィ」。大学院にてタイポグラフィを研究中。

TANTKIRA(K-4 /♯100)

キラキラと輝く華やかな光沢とクリアな発色を追求したファンシーペーパー。
キラキラパールの中でもカラーのあるTANTKIRA。夜の風景にも。


私にとって旅とは「転地」です。
転地とは療養などのため、住み場所を他の土地に移すことですが、小旅行も広義の転地と考えられており、日常から離れた環境に身を置くことで、自律神経が整い、リラックス効果を得られることから「転地療養」とも呼ばれています。
旅は、自分の声を聞き、自分の心を整え、自分を鑑みる時間を捧げてくれる、ステキな行為である事を表現しました。

馬杉 拓志(Takuji Umasugi)

広島県廿日市市生まれ、広島県立廿日市高校卒業。桐朋学園大学演奏学部演奏学科卒業。同大学研究科修了。ホルン奏者として活動後、中古レコード店にて、ECサイト・顧客管理・海外販売システムなどを担当。また、桐朋学園音楽部門同窓会IT担当理事として、名簿・ウェブサイトなどを保守管理運用する。
2019年、ヒューマンアカデミーグラフィックデザインコース修了。2020年〜東京デザインプレックス研究所ウェブクリエイティブコースほか。2022年〜 WAKKA DESIGN PICNIC アシスタントデザイナー。

エアクリーンペーパー(- / 73kg)

抗ウイルス、抗菌、消臭、空気の清浄化効果を持たせた印刷用紙。
光触媒のチカラで空気をキレイにする紙でリラックス。


投稿者
BrothertonDuncan
BrothertonDuncanの顔写真
オーストラリア出身で、2001年より日本に在住し、GRAPHIC DESIGNER+THINKER+WRITERとして活動しています。デザイン以外にも英訳の仕事を受ける。大阪医科薬科大学と京都芸術大学でデザイン専門英語、奈良芸術短期大学で編集デザインを担当。2011年に入会、現在は西部研究会委員会の担当理事。クラフトビール好き。最近新しいチェーンソー購入。普段、母国語より関西弁しゃべっている。