特集 インフォグラフィックス

ネット時代において新たな表現の模索が始まる

インフォグラフィックスは、複雑な内容やイメージしづらい 物事の仕組みを、文字情報を最小限に、イラストや図を中心に伝えたい情報を分かりやすく表現するグラフィックデザインのことです。そのためグラフィックデザイナーが多く関わることで、データを分かりやすく見せることができます。

しかし一方で情報を読み解く発想力が求められています。デザイナーがグラフをデザインするのではなく、データをデザインする力が必要になります。 インフォグラフィックスの表現においては、静的な表現でデータを分かりやすく示すことができますが、盛り込む情報量に制限がかかります。

そうした中で、表現の中心がインターネットになった今、様々な表現方法でフィールドをひろげたデザイン事例があります。

データビジュアライゼーションは、主に企業や自治体が あつかう蓄積されたデータにアクセスして、グラフ化する 表現手法です。最近ではモバイルやウェアラブル端末、コ ンピュータ等から様々な情報が蓄積された “ビッグデータ” を可視化して、新たな価値を見いだそうする動きがあります。

 

 

生データをユーザが見る事ができる表現も増え始め、データを正確に示すことはできるが、反して情報過多になって受信者が読み取るのが困難になることもあります。そしてこれらはエンジニア中心に制作されることが多く、デザイン性にかけるという弱点も見受けられます。

新たな表現を模索する上では、データジャーナリストと呼ばれる専門分野で活動する人たちも増え、ジャーナリスト、エンジニア、デザイナーの異なるキャリアの中で少なくとも2つの専門分野を踏まえた人材が、お互いのキャリアを理解しながら表現することが求められているのかもしれません。

近年、デザイナー向けのプロセシングという名前のプログラミング言語が開発され、デザイナーにとって制作しやすいプラットホームができあがり、大きな期待が寄せられています。

 
 

英国をタイポグラフィとナレーションで
親しみやすく分かりやすく紹介

British Council[ブリティッシュ・カウンシル]

オンラインコンテンツ「3つのブリティッシュ・カウンシル ~英国とあなたをつなぐ架け橋~」は、英国の公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルが、〈英語〉〈アーツ〉〈教育〉のつの活動分野を、英国の一般的なデータとともに、インフォグラフィックスで楽しく紹介しているコンテンツです。

全編に英語のナレーションと日本語のサブタイトルが入り、ナレーションは画面上の英文と連動しながら表示されるので、まるで英語を勉強しているような気分にさせられます。キネティック・タイポグラフィとインフォグラフィックを融合させた親しみやすく分かりやすい内容で強く印象を残すことができます。

登場しているフォントは英国生まれのCaslonやGill Sans、Thorowgoodなどで、細部にまでこだわりぬかれた印象を受けます。

 

本編は右記のサイトからご覧ください。 www.britishcouncil.or.jp/60th-anniversary/overview/

 
 

インフォグラフィックスと
データビジュアライゼーションの
両分野の表現を融合する情報デザイナー

Nicholas Felton[ニコラス・フェルトン]

タイポグラフィにも定評のあるグラフィックデザイナーのニコラス・フェルトンは、Fecebookの設計チームの一員として、タイムラインをデザインしたUIデザイナーとしても知られています。

そんなフェルトン氏は、データへの執着心と観察力に優れ、様々な蓄積されたデータを視覚化することに取り組んでいます。ジャーナリストとしての観察力、デザイナーとして表現力のバランス感覚にも優れています。データを可視化する第一人者であることは間違いありません。

 

 

フェルトン氏のもっともユニークな活動のひとつが、自身の生活を可視化するというプロジェクトを年から始めていることです。「アニュアル・レポート(年次報告書)」というタイトルの本にまとめて出版しています。年を通しての移動の軌跡や気持ち(ムード)、会話の話題、さらに心情までも可視化するとてもユニークなインフォグラフィックスを発表しています。

インフォグラフィックスの作り方は、プロセシング(Processing)というデザイナー向けのグラフィック機能に特化したプログラミング言語を使い、CSVの形式にエクスポートしてベジェ曲線の編集可能なデータに変換し、さらにイラストレータのようなグラフィックソフトに移行してレイアウトを行ないます。

そもそも、プロセシングは理系でない人が抵抗なく使えるように開発されたもので、特にデザイナーやアーティストの活用方法に期待されて開発されたものです。自身をインフォメーションデザイナーと呼ぶフェルトン氏は、データそのものの活用方法をデザインし、作りたいイメージが先にあり、表現方法を変幻自在に変えることのできるデザイナーなのです。

 

Nicholas Felton[ニコラス・フェルトン] インフォメーションデザイナー
ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動。ワイアードとグッドマガジンが選ぶアメリがで最も影響力あるデザイナー人に選ばれた。データ可視化の第一人者と言われ、年から自身のライフログを綴ったアニュアル・レポートを毎年発表している。彼の仕事はMoMA(ニューヨーク近代美術館)の永久的なコレクションの一部になっている。http://feltron.com

 

特集の続きは、「typographics t No.284」にてお読みいただけます。

 

記事作成者
アオキジュニヤ Design Base / グラフィックデザイナー
アオキジュニヤの顔写真
1972年、長野市生まれ。 多摩美術大学 造形表現学部卒業。 在学中よりタイプフェイス制作しFont1000に参加。2002年、渡米。デザイナーのマーティン・リム(Martin Rimm)に師事。その後、ダンスマガジン『The Arts Cure』のアートディレクターとして活動。 その他、書案家として展示、ライブなどを行う。 2006年、帰国。Design Baseを設立。
 
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