& Type Eyes 文字の細道

ここは都内にある文字のワンダーランド。

タイポグラフィというキーワードで、独創的で唯一無二の創作活動をされているビンテージの看板文字専門店「LETTERS 8」。

このショップの屋号でもある「LETTERS 8」のレターは文字という意味で、日本ではレターというと手紙をイメージし、一文字をアルファベットと呼ぶことが多いですが、レタリングで使われるこの言葉を多くの人にひろめたいというオーナーの清水大輔さん。このLETTRS 8の活動を通して、生活の中の文字へのインスピレーションがひろがり、文字への関わり方も変わり始めた予感がします。

まず開業された動機をお聞かせください。
このお店をオープンする前は、アメリカの建物で使われていた古材を輸入し加工販売する会社で15年間働いていました。その当時からアメリカンカルチャーの影響を受け、特に看板に興味が出て、次第にそこで使われている文字を収集するようになりました。
その後内装に関わる中で、限られた予算で開業した飲食店やアパレル店舗が、数年後に看板や内装の一部を充実させようと思ってもなかなか業者さんが見つからない状況や、また個人の方でも表札に使う文字にご自分にあったレターを探しいてるという声を聞くようになり、文字をプロダクトとして売る専門店があったらと考え始めました。
フランスのパリにあるビンテージ看板文字の専門店「Kidimo」の存在を知り、今までの自分が思い描いていたことをやっている人がもう世界にいるんだ。日本にはまだ立体文字の専門店はないけれど、東京なら必ず成功できると確信しました。それまでの経験の中で買っていただけそうなお客さまのイメージもできていたので、そこから文字を本格的に集めオープンすることができました。

どのようなお客さんが一般的ですか?
個人のお客さまも多く訪れていただいています。割合で言うと8割がプロユースで2割が個人の方です。プロユースでは比較的アパレル店舗が多いです。また展示会の時に、ブランド名やブランドコンセプトを表したフレーズにチャンネル文字を使うこともあります。さらにカフェを始め、飲食業の方の注文も多いです。その他に雑誌やミュージックPVの小道具として使われていたり、必要に応じて貸し出すこともあります。当然売ることを前提としていますが、中にはもう二度と手に入らないような逸品もあったりするので、貸し出す方が嬉しい時もあります。

開業してから今日までお客さんのニーズを教えてください。
この店はビンテージ看板文字専門店ですが、お客さんが意外にビンテージだけを必要としていないことを感じます。例えばビンテージの中に新しい文字が混ざっていても全体がキレイにまとまっていれば、さほど気にしない方が多いです。しっくりくる配列があってそこにピタッとはまればいいのです。当初は手持ちのないレターの注文がきて、ビンテージと新しいレターを混ぜることを危惧していましたが、これは予想に反しました。もちろん、ビンテージだけで揃えたいというお客さんもいらっしゃいますが。
ここに置かれているレターは、とても個性があり、バラバラなレターの配置でも印象的な表現に生まれ変わります。20年前であれば不揃いなレターは、価値がないものとして受け入れられなかったように思うのですが、現在のお客様のニーズには受け入れられていると思います。
またあらためて気づいたことは、日本語と英語の言語の違いでレターの流通する量に違いがあることです。個人のお客さまの場合、イニシャルのレターを求めて来られる方が多く、例えば名前がケンイチ、マサヒコなど、男女を含めて“K”や“M”を求める方が多いです。
それに対して英語圏では“K”や“M”を使う頻度が少ないため、日本ではすぐ品切れになります。その反面“A”や“E”などの母音が多く流通しており、“R”や複数形の“S”もよく出てきます。また数字を看板に使うことが少ないため流通量も少なく、数字の問い合わせがきた時は困ります。

印象に残るお客さまを教えてください。
オープンしたての頃に来られたお客さまで“R”ばかり集めている方がいらっしゃいました。“R”を飾る専用スペースを持ち、つねにいい感じの立体を集められていて、いいものが見つかると、新しい“R”に飾り変えるそうです。そのお客さんのイニシャルが“R”なのか、または“R”が持つフォルムに惹かれたのかは分かりませんが、とても印象的な方でした。

今後の事業展開などがありましたら教えてください。
表現のニーズが変化しても文字を求めるニーズが変わらないと思うので、立体のチャネル文字にこだわらず、サインペイントもぜひ商品化していきたいと考えています。


LETTERS 8
東京都目黒区駒場1-16-12 ビル秀美3F
日曜・月曜定休日
火曜−金曜 13:00–19:00
土曜 13:00–18:00
Phone: 03 6407 1958
www.letters8.com

記事作成者
アオキジュニヤ Design Base / グラフィックデザイナー
アオキジュニヤの顔写真
1972年、長野市生まれ。 多摩美術大学 造形表現学部卒業。 在学中よりタイプフェイス制作しFont1000に参加。2002年、渡米。デザイナーのマーティン・リム(Martin Rimm)に師事。その後、ダンスマガジン『The Arts Cure』のアートディレクターとして活動。 その他、書案家として展示、ライブなどを行う。 2006年、帰国。Design Baseを設立。
 
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