Global Type Relay: Andreas Uebele (Stuttgart, Germany)

typographics t誌内では国際的タイポグラフィデザイナーを連載として始めて、まずは英語で紹介して、同時にtypographics t オンラインで日本語で紹介します。特集されるデザイナーにはバトンリレー形式で次の方を紹介してもらいますが、1つだけ条件があります。次回は別の国の方へ。最終的にどこまで行き着くことでしょう。第7回はドイツ・シュトゥットガルト在住クリエイティブ・ディレクター、アンドレアス・ウベレ氏。
[取材:ブラザトン・ダンカン、翻訳:ブラザトン・ダンカン、本多り子]

Andreas Uebele(アンドレアス・ウエベレ)
büro uebele visuelle kommunikation (https://www.uebele.com/)

建築家としての訓練を受けたアンドレアスは、1996年にビュロー・ウエベレ・ビジュアル・コミュニケーション(büro uebele visuelle kommunikation)を設立。2016年カロリン・ヒンメルが共同経営者として加わり、ビジュアル・アイデンティティ、サイン&ウェイファインディング・システム、コーポレート・コミュニケーション、ウェブサイトを中心に、ビジュアル・コミュニケーションのあらゆる分野で活躍しています。数々の受賞歴や美術館のコレクションに加え、最も重要な作品のひとつはドイツ国会のコーポレートデザイン。アンドレアスは、あらゆるものがデザインされなければならないと考えています。「自分の信条です。家、スペース、衣服、そして言葉(コミュニケーション、書体、文字、そしてそれらをサポートするツール、ガジェット、デバイスなど)。この世界を美しくデザインすることがデザイナーの仕事であり、喜びをもたらす仕事でもあります。」

Q:勉強や仕事を通じて、ずっとシュトゥットガルト市に在住していますが、この街の魅力は何ですか?

私は村で育ちました。シュトゥットガルト市に引っ越したのは地域社会の活動のためで、当時は大きな一歩に思えました(笑)。それからずっと住んでいます。一つの都市を選んだり、他の都市を拒絶したりしたわけではなく単にそうなっただけです。本当はどこへ行っても心からくつろぐことは難しいですが、少なくともここでは、言葉、方言、風景、文化に馴染んでいます。

Q:建築家としての訓練とタイポグラフィの仕事に関連性はありますか?

建築家として物事を構造的に計画することを学びます。グラフィックの分野とは対照的に、建築には規則や法律、物事を整然と処理するための手順があります。それは良いことだし、役に立つと思います。それとは別に、建築は根底から学際的であり、そのアプローチをタイポグラフィの仕事に反映させようと努めています。

Q:Q:最も重要な作品のひとつに、ドイツ国会のためのVIがありますね。それについて教えてください。なぜ重要と考えますか?

この仕事が私たちのエージェンシーにとっても、また私個人にとっても重要である理由はいくつかあります。第一に、たとえ勇気が要るステップだったとしても、直感に従うべきだということを、非常に明確に示してくれました。ドイツ連邦議会の紋章の場合、明確な法的ガイドラインを無視することと言う意味でした。紋章はドイツ国会の議場に美術品として掲げられており、デザイン提案のため2D画像もらいました。使用していいけど、調整することは不可能でした。しかし、コンペから除外されるリスクがあったにもかかわらず、それを変更しました。ドイツ議会は民主的に正当化された国家の最高機関であり、国家の象徴は特に優れたデザインであるべきだと私は原則的に信じていますので緊張でした。
親しみやすいとは言えないまでも、少なくとも明らかに攻撃的でない、主権者でありながら高慢でない仕上げに満足していますし、多くの使用例と無断コピーのように人々に好まれる鷲をデザインできたことを嬉しく思います。

Q: オフィスでの一日はどのようなものですか?

多くの場合、慌ただしく、息も絶え絶えに次から次へと仕事をこなしています。しかし、時には落ち着いて考え、楽しく会話し、のんびりと絵を描き、集中して書くこともあります。

Q:ユニット・エディションズ(そして前号のトニー・ブルック)から本を出版しましたね。それについて教えてください。それで何を達成したかったのですか?

時折、自分自身の作品に疑問を投げかけることは助けになります。批評的な目で作品を見て、見えたものについて書くことが大事です。こうすると、さまざまなプロジェクトをより離れた視点から見ることができます。その一方で、意図的に従来型・持続可能なPRでもあります。私自身は本が大好きで、たくさん読みます。

Q:シュトゥットガルトで、タイポグラフィ愛好家にお勧めの場所を教えてください。

旧シュトゥットガルト州立図書館では、ヨスア・ライヒェルトの素晴らしいタイポグラフィ作品を見ることができます(1937-2020、ドイツの印刷工、タイポグラファー、グラフィックデザイナー、作家。タイポグラフィ・プリントやABC絵本『世界で一番小さな本』(2.4 x 2.9 mm)で有名であります)。彼の作品は、私たちが州立図書館の新館増築のために行ったタイポグラフィの介入にインスピレーションを与えてくれました。今後数ヶ月のうちに設置される予定です。


次回 STR→ ZRH: Isabel Seiffert (Zurich, Switzerland)

次回は、アンドレアスはスイスのイザベル・サイファートにバトンを渡しました。

「イザベルはドイツ生まれですが、スイスでの生活は長いです。デュッセルドルフで初めて会いました。学生作品の審査員を探していたところ、スタジオの元インターンのヤニク・ハウシルトが彼女を推薦してくれました。イザベルは若くて作品も素晴らしい。次のゲストにふさわしいと思います。」

記事作成者
BrothertonDuncan
BrothertonDuncanの顔写真
オーストラリア出身で、2001年より日本に在住し、GRAPHIC DESIGNER+THINKER+WRITERとして活動しています。デザイン以外にも英訳の仕事を受ける。大阪医科薬科大学と京都芸術大学でデザイン専門英語、奈良芸術短期大学で編集デザインを担当。2011年に入会、現在は西部研究会委員会の担当理事。クラフトビール好き。最近新しいチェーンソー購入。普段、母国語より関西弁しゃべっている。