t誌291号「アジア発信のデザイナー」特集

 

t誌291号特集は、「アジア発信のデザイナー」。

香港、台湾、深圳、上海。歴史も発展過程も異なるアジアの都市を拠点に活躍する4人のデザイナー。彼らが住む街でのデザインの取り組みについて話をうかがった。

本ページでは、香港「陳超宏」氏、上海「孫乙民」氏インタビューの一部を紹介する。

 
 

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香港デザイナー「陳超宏」

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・ Q.
「香港のデザインの魅力」を教えてください。

 

・ A.
個人的には70年代、80年代の香港デザインが好きです。当時はさまざまな分野のデザインが一斉に開花し、まさに百花繚乱の時代でした。

当時、経済は確実な成長を続け、多くの産業からデザインの需要がありました。たくさん外国人デザイナーが香港に移住し、デザイン・スタジオを開設しました。

当時は香港の学生やデザイナーが西洋のデザインを学び、意見交換することができました。東洋と西洋が出会う「るつぼ」の中で多国籍デザインが誕生しました。

 

 

・ Q.
「香港のタイポグラフィ」についてのお考えをお聞かせください。

 

・ A.
香港は歴史的に英国の植民地だったことや、中国からの移民など、東洋文化と西洋文化が出会う場として他にない特徴があります。

それによって香港のデザイナーはバイリンガルな活字開発の訓練ができています。都市を歩いていると、 いつも東洋と西洋が混じった複雑な多国籍二か国語のデザインや道路標識といった独特の記号を目にします。

今後も東洋と西洋が合体したデザイン、特に二か国語タイポグラフィで香港のデザインの興隆は続くと思います。

 

陳超宏 プロフィール
Eric Chan Eric Chan Design Co. Ltd.
www.ericchandesign.com

香港出身。香港理工大学と大一エリック・チェン美術学校卒業。1991年、Eric Chan Design Co. Ltd. を設立。

アメリカ ONE Show「デザイン金賞」、イギリス D&AD「イエロー・ペンシル・ノミネート推薦賞」、日本タイポグラフィ協会「年度最優秀賞」、香港デザイナー協会「デザイン金賞」など、香港や国際大賞を多数受賞。

 
 

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上海デザイナー「孫乙民」

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・ Q.
「上海のデザイン」についてのお考えをお聞かせください。

 

・ A.
タイポグラフィのグラフィックデザイン表現については、西欧の表音文字(英字)と東洋表意文字(漢字)の両者は根本的に異なると思います。

単体の表音文字の意味は存在しないと考えます。しかし、単体の表意文字(漢字)はデザイン性プラス感情的なカラーや意味合いがあると思います。

この両者を絡めて構成する(デザインする)のはやりがいのある事だと思います。

上海にいるデザイナーやアートディレクターなどは世界各国(地域)の人間から構成され、これからは国際都市として世界に通用するデザインが増えるでしょう。

その中で漢字と英文、漢字と日本語、漢字のイメージ、図柄への表現が次々と街に現れると思います。中国人デザイナーとして、求知のこころを忘れずに上海の素敵な都市創りに貢献するつもりです。

 

 

・ Q.
「上海のデザインがどのように発展する」と考えてますか?

 

・ A.
今の上海ではデザインをやりすぎる事がある。要するに全てをデザインで表現しようとするとアイデアが少なくなるはずです。

新鋭デザイナーは必ず新しい事を吸収し、自分自身と新時代の複合のような人間になろうとする決意が必要でしょう。

中国の中でも上海は外国人の租界という時代があり、異文化を受入れる度量がある。これからの上海デザインは間違いなく国際的に通用するデザインになるでしょう。

 

孫乙民 プロフィール
Sun Yi min ソン・イーミン

1978年生まれ。西安美術学院芸術デザイン学科を卒業後、上海WPG伙伴集団に勤務、クリエイティブ総監として活動。2002年より上海で16年間上海広告業で活躍。

広告グラフィックデザインやタイポグラフィを得意とする。中国広告業の受賞歴がある。非常にハングリー精神が強く、次 世代を担う人物として期待されている。

 
 

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